| ………………………。 くんくんくん。 | |
| 近くで食べ物の匂いがする〜。 | |
| クリスは、なにやら匂いをかぎつけた様であたりをパタパタと探し回る。 | |
| あ、ここからだ! | |
| えっと、この部屋は…………アスティマさんの部屋みたい。 おじゃましま〜す。 | |
| あら、クリスちゃんいらっしゃい〜。 | |
| ね、ね、何か食べ物作ってる? 微妙に甘い匂いがしたんだけど。 | |
| あら、結構鼻がいいのね〜。 今チョコレートを作ってるの〜。 | |
| えっ!? チョコ!? 食べたい食べたい〜。 | |
| 今はまだダメよ〜。 まだ溶かし始めたばっかりだから〜。 | |
| それでもいいから、ちょうだいちょうだい。 | |
| そぉ〜? はい〜。 | |
| アスティマは溶かしている最中のチョコをスプーンですくってクリスに渡した。 | |
| わ〜い、ありがと〜。 パクッ。 | |
| ……にっが〜い! | |
| ほーら、だからダメって言ったのよ〜。 まだ砂糖とか入れてないんだから〜。 | |
| 砂糖入ってないって最初に言って〜……それに甘い匂いがしてたんだもん。 | |
| あはは〜、なるほど〜。 そこの香料の匂いと勘違いしたのね〜。 ほらほら、チョコができたら分けてあげるから事務所に行ってなさいね。 |
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| は〜い。 | |
| クリスは渋々アスティマの部屋を出ようとしたところで、テーブルの上に徳用一口チョコの袋があるのを見つけた。 | |
| あーー! チョコの袋見っけー! これちょうだいねー。 | |
| え〜チョコの袋〜? そんなのあったかしら〜?? | |
| …………あ〜〜〜! クリスちゃんそれダメ〜。 それはいたずらで作ったチョコもどき〜! って、もういないわ〜。 |
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| まぁ、死ぬことはないでしょうから〜……いっか〜。 | |
| アスティマは何事もなかったかのようにチョコ作りを続けた。 | |
| あー6個しか入ってない〜。 一個食べよ〜。 | |
| ふぁ〜あま〜い。 もう一個〜。 | |
| んふふ〜♪ もう一個〜。 | |
| お? クリス、どうした? やけに嬉しそうだな。 | |
| あらチョコ? おいしそうね。 | |
| あ、ルシーアお姉ちゃんに。エリーナお姉ちゃん。 | |
| あ……う……一個あげる〜。 | |
| キャー、クリスちゃんありがと〜。 あとでおいしい物作って上げるね〜。 | |
| オレはいいよ。 クリス、無理しないで自分でくいな。 | |
| え? 本当!? お姉ちゃん達ありがと〜。 | |
| あら、市販のチョコにしては結構おいしいね。 | |
| でしょ〜? | |
| へぇ〜、どこで手に入れたんだ? | |
| アスティマさんの部屋ー。 | |
| げ! ゲホッ、ゲホッ! | |
| ち、ちょっとルシーアお姉ちゃん大丈夫? | |
| クリスちゃんこれ以上食べちゃダメ〜〜。 | |
| あ〜あ、とりあえずアスティマのところに行くぞ。 |